パワーボート (powerboat) は、モーターボートを使った競技(モータースポーツ)及びそれらで使われる船体のことを示す。クラスによっては最高速度は200km/hを越えるものもあり、「海のF1」などとも呼ばれる。

クラス

2005年現在のレギュレーションブックによると、概要は以下のとおりである。また、いずれのクラスにおいてもハイドロフォイル(水中翼)の使用は認められない。

フォーミュラクラス

更に「F550」「F850」「F3000」に細分化されている(以前は他に「S550」というクラスがあった)。エンジンはそれぞれ数字の排気量以下。艇体はカタマラン(双胴船)。

ハイドロクラス

更に「OSY400」「K400」「0:350」に細分化されている。エンジンはそれぞれ数字の排気量以下。艇体はハイドロプレーンと呼ばれる、比較的平面に近い艇底を持ち、水面を飛び跳ねるように浮いて走る(プレーニング)タイプのものが使われる。現在、競艇に使われているものと同じタイプのボートである。

Vクラス

更に「V850」「V3000」に細分化されている。エンジンは、前者は870cc以下、後者は3000cc以下。艇体は「ランナバウト」と呼ばれる、艇底がV字型をしたもの(モノハル艇とも呼ぶ)。よく見掛けるモーターボートに比較的近い形態である。

オフショアクラス

更に「OFF1~OFF4」「オフショアオープン」「オフショアスーパー」に分かれる。艇体の様式には制限がないが、カタマラン(双胴船)タイプのものが多い。エンジンは、クラスによって許容排気量・許容出力・搭載可能数が異なるほか、インボード(艇体内にエンジンを積む)とアウトボード(船外機を使う)でも細かく異なる。オフショアオープンクラスのインボードガソリンエンジン艇の場合、1000馬力・16387cc以下のエンジンを2基まで搭載することができる。日本でも、過去にはオフショアスーパー艇として4基掛け(エンジンを4基搭載)などというものが登場したこともある。

操縦

ランナバウト艇はコーナリングの際にオートバイのようにバンク(ローリング)することができ、旋回方向の内側に船体を傾けてコーナーを回る(傾きは大型船舶のそれとは逆になる)。対してカタマラン艇・ハイドロプレーン艇は、四輪車のようにバンクせず(ドリフト走行のよう)に回る。

「フォーミュラクラス」、「ハイドロクラス」、「Vクラス」は単座であり、乗員1名が搭乗して操縦する(Vクラス艇はサイズとしては複座にすることも可能)。

特徴的なのは競争水面が沖合が中心の「オフショアクラス」である。このクラスでは一般に機関出力をコントロールするスロットルマンとドライバー(操舵手)の2名構成、時にはナヴィゲーションマンが加わった3名構成で操縦する。スロットルマンはエンジンの制御を行い、ドライバーは進路を決める。ナヴィゲーションマンはレースコースを指示するいわば航海士のような役目をする。このうち最も熟練を要するのはスロットルマンであるという。また、外洋レースでは、ヘリコプターなどを使って上空からのナヴィゲーションや戦略指示などが行われることもある。

レース

アメリカ合衆国や地中海などでは比較的ポピュラーなレースだが、日本ではあまり盛んであるとは言えない。

日本国内でも、比較的小さいクラスのボートを使うレースは各地で行われている。対してオフショア艇もエントリーできるビッグレースは数が少なく、木曽川で行われる日本グランプリパワーボートレースが唯一となっている。過去には、瀬戸内ローズカップや熱海オーシャンカップなどが行われていた時期もある。

脚注

注釈

出典

関連項目

  • 競艇
  • F1パワーボート世界選手権
  • ハイドロプレーニング現象
  • マーキュリー・マリーン

外部リンク

日本パワーボート協会


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