ハナヤ勘兵衛(はなや かんべい、または、はなや かんべえ、1903年1月12日 - 1991年5月15日)は、日本の写真家。本名は桑田和雄

人物

1903年に大阪市西区江戸堀で生まれる。大阪府立堺中学校(現・大阪府立三国丘高等学校)を卒業後、写真家になるために上海に渡り、その後香港やシンガポールにも渡る。1927年に帰国後、玉子と結婚。1929年に芦屋で写真材料店を開き、「ハナヤ勘兵衛」と名乗るようになった。

1930年に、中山岩太が中心となり結成された「芦屋カメラクラブ」に紅谷吉之助、高麗清治らとともに参加し、関西での新興写真運動の中心的存在の一人として活躍。その作品には、多重露光やフォトモンタージュを駆使したものが多く、強烈なモダニズムを感じさせ、1932年に創刊された雑誌『光画』にも、その作品が掲載された。当時の作品は、船に取材する機械美を追求したものや、フォトモンタージュによって近代都市を捉えるものがあった。また、戦後も活動を続け後進を多く育てた。

桑田商会・株式会社ハナヤ勘兵衛

ハナヤ勘兵衛はもともと「桑田商会」という写真材料商を芦屋で営んでいたが、この会社は「株式会社ハナヤ勘兵衛」と名称を変え、現在も兵庫県芦屋市で営業を続けている。ちなみに、現在は、写真材料販売のみならず、写真撮影、プリント、暗室処理、暗室レンタルなども行っている。

代表作

  • 船A(1930年)[2]
  • 船B(1931年)[3]
  • 船C(1930年)[4]
    • 以上3点は、構成主義的な作品となっている。(堀野正雄の作品との近接性も感じられる)
  • フォトモンタージュ 女とグラス(1933年) - モダンガールとネオンをモンタージュした作品。
  • アドウーマン(1954年)
  • たそがれ(1936年)
  • ナンデェ!!(1937年) - 躍る人間を1つの画面に三重に写し込んで、ブレとともに人物の大きな動きを端的に表現した作品。[5]
  • 独楽のある静物(1943年)
  • 歯車のある静物(1955年)
  • 五月雨の連奏(1962年)
  • 桜と焼場(1966年)
  • 木のある風景(1963年)
  • 早春(1969年)
  • 桜(1970年)
  • 尾呂志の桜(1973年)
  • 校庭の春(1973年)
  • 造船所(1981年)

主要展覧会

  • ハナヤ勘兵衛展/芦屋市立美術博物館/1995年
  • 芦屋カメラクラブ1930~1942/芦屋市立美術博物館/1998年

脚注

参考文献

上記2展覧会の展覧会カタログ(図録)のほか、以下のものがある。

  • 日本写真家事典(東京都写真美術館・執筆監修、淡交社、2000年)252ページ
  • 日本の写真家 近代写真史を彩った人と伝記・作品集目録(監修・東京都写真美術館、日外アソシエーツ、2005年)326ページ~327ページ
  • 鈴木貞美 編『モダンガールの誘惑』平凡社〈モダン都市文学II〉、1989年12月。ISBN 978-4582300826。 

外部リンク

  • 株式会社ハナヤ勘兵衛
    • 創始者ハナヤ勘兵衛について - 年譜、作品

関連項目

  • 日本写真史

(ハナヤ勘兵衛氏 大束元撮影) ToMuCo Tokyo Museum Collection

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